第十一章-中編-
「た……」
次の瞬間だった。
残された巨人の本体がたちまち膨張し、弾け飛んだ。
ぐしゃぐしゃと、まるで鉛筆で円を続け様書いて重ねたように。霧が、煙が、絡み合う。縺れた糸のように呆然と眺めていた此方側が何が何やら分からなくなって、その後。例えば砂の山に息を吹きかけたような。散らばって、舞い上がり。
……ぐるぐると。ぐしゃぐしゃと。
描いて描いて描いて。
象る。
霧と煙が混ざりながら生み出したそれは。
「え」
――斬撃。
ロイは自分の胸を見下ろした。ぷしゃ、と小さく音を立てて。
真っ赤なそれが。
噴き出して。