第十一章-中編-
引き金。叫び声に押し出されるように誰も駆け出した。
気持ちを焦らせてはいけない。落ち着いて対処すれば無傷で済むんだ――その考えがいつの間にか周りの景色を霞ませ先走っていることに気付かず。
「ぁ」
声もなく。
大振りの一撃が戦士たちを襲う――
「っ、」
通路を作ろうと飛び出したヨッシーがたった今、すぐ目の前でやられた。
剛腕に巻き込まれたその人の姿は何処にも見当たらない。
「……く」
カービィはぎり、と奥歯を噛み締めた。
「確実に仕留めてやる」
距離はそう遠くはなかった。
ギュン、と飛んで巨人の左肩へ接近する。直後に右腕を薙いで抵抗を見せたが、遅い。即座に潜って躱し、空を蹴って更に速度を上げる。続け様左腕が真っ直ぐ突き出された。翻して腕の上に着地。相手は鈍間だ。こんな奴、目じゃない。
……僕の敵じゃない!
「はあぁあああッ!」
両手に構えた剣を逆手に、巨人の腕へと突き立てて声を張り上げながら駆け出す。力を込めて切り裂いていく。劈く悲鳴に負けじともう一度カービィは叫んだ。
「くらええぇえええッッ!」