第二章
きっかけなんてものは唐突ではなく、じわりじわりと訪れた。それがいつ頃の話だったかはあまり覚えていないが……
――優勝するのは絶対マリオさんですよ!
プレッシャーに感じた。
そう発した本人に悪気はなかったのだろうが、ただの応援が俺には負担だった。
勝たなくては。応えなくては。
出来ないはずがない。皆だってそう言っていた。今まで当たり前のように熟してきたことを、義務的に繰り返すだけ。
負けるわけにはいかない。勝利こそが俺の証明であり、俺の全てなのだから――!
「そっこだぁ! いけいけぇー!」
「リム。少し静かにしてくれ」
暫くしてバトルルームに戻ってきたルイージは、観戦中のメンバー達の背中を遠目に見つめた。……皆が注目しているんだ。
小さく溜め息を吐き出す。自分が勝てば、少しは負担をかけずに済んだのに。