第十一章-中編-
迷っている暇はない。
「退避!」
作戦もなく立ち向かうのは無謀というものだろう、まずは距離を取る。
巨人の正面にいたラディス含むメンバーは後方へ大きく飛び退いた。確かに直撃は避けたが、それでも巨人が叩きつけて地面を抉ると跳ねた礫が体のあちらこちらを掠めてしまった。砂煙が舞い上がる。
「あの腕が厄介だな」
ファルコが着地と同時に言った。
「どうする」
「切り落とす」
自分でも驚くくらいはっきりと簡単に言ってのけた気がする。
「ロイとカービィは」
「巨人の……左腕側だな」
ラディスはちらりと視線を遣る。
「進路を作る。マルスは二人の側に回って攻撃に向かってくれ」
言うとマルスは自身の手に握られた剣を見つめた。いくら、聖剣といっても。
「……分かった」
迷ってる暇なんかないんだ。マルスは柄を握り締めるとその場を離れた。
「無茶言うぜ」
ファルコが苦笑交じりに本音をこぼした。
「進路を作るっつったな」