第十一章-中編-
まさか。あんな巨大な化け物を目の前にしておいてそれで全てが終わったなどとは安心していない。……いや。今度こそ終わりなのだろう。
その終わりが示すのは希望か絶望か――
「何なんだ、あれは」
マルスが小さく咳き込んで訊いた。
「……分からない」
フォックスははっきりと答えた。
「どうして現れたのか、何が目的なのか。……ただ」
真新しい血や肉片がちらつく。
「敵だと思っておいた方がいい」
ラディスはようやく体を起こした。
今の一瞬で酷い有り様だ。地面は抉れ、所々が目も当てられないような光景と化している。肉の塊が転がる中メンバーの姿を見つけてぞっとしたが、程なくして体を起こしたので胸を撫で下ろす。大事には至らなかったようだ。
「だからって」
ファルコは呟く。
「……どうすんだよ」
やれるのか、といった意味合いだろう。
……確かにそうだ。ただ見上げるばかりの巨体を絶命させることなど、いや、寧ろ得体の知れないあれに絶命なんて有り得るのか――そう考えている間に巨人は吠え声を響かせて腕を振り上げた。
「ラディス!」