第十一章-中編-
地面が割れ、抉れ、足下が盛り上がる。
結局のところ退避と聞いて下がろうとしていた何人かも巻き込まれ、子供がトランポリンを跳ねるようにして宙に舞い上がった。直後、ラディスやマルス含む無防備な人たちに向けられたのは巨大な腕による容赦ない無慈悲な――薙ぎ払い。
「ぁ」
声も上がらなかった。
風を切る音が掻き消したのだろう。直撃を許した人たちの血が肉片が散った。
その目に見届けてようやくマルスは自身の置かれた状況を理解する。ラディスを背に剣を腰に据えて腕の直撃を剣を引くと同時に返し、けれどその圧倒的な力に押し返されてラディスを巻き込みながら後方へ。とっさの判断で繰り出したのは反撃に用いる攻防を備えた得意技、カウンターだった。
「ッうぐ」
地面に叩きつけられたラディスとマルスの元へ急ぎフォックスが駆けつけた。身を案じようとして吠え声に肩を竦め、ばつが悪そうに見上げる。
「何なんだよ……!」
遅れてやって来たファルコが顔を顰めて愚痴った。
「終わったんじゃなかったのか……!」