第十一章-中編-
どういう意味だろう。ドンキーは顔を顰めた。
「なに、訳の分からんことゆうとるんや」
「とにかく治療を」
「そんなことしてる場合じゃない……!」
リムは暫くぼうっとしていたが。
「……まさか」
ぽつりと呟いた。
彼は、生まれ持ってその目に未来を捉えることが出来る能力者だ。
常日頃でなければ故意でもない。それはある日突然、危険を知らせるかの如く、不意に降りかかる。未来予知という大きすぎる力に体は大した耐性を持たず、その都度幾らかダメージを負うものだとは聞いていた。
……もし。
予知する未来の損害と代償が比例するものだとしたら――
リムは巨人を振り返った。
まだだ。まだ、動いていない。
「逃げてえっ!」
リムは力の限り叫んだ。
「皆っ、逃げてええぇえ!」