第十一章-中編-
……心臓がうるさい。
「ゼルダぁー!」
今のは。
「ぁ」
巨人の腕が振り上げられる。
「逃げなきゃ」
ユウはぽつりと言った。
「連れてきたったで」
ドンキーがゼルダを連れて戻ってくる。
「すみません、お待たせしました」
早速治療を施そうと翳された手のひらが光を宿すより先、ユウは掴んで止める。
「早く」
小さく咳き込んで繰り返す。
「逃げて」
ばちっと脳裏を電気が走ってフラッシュバックを起こす。
「……未来が」
ユウは息も切れ切れに言った。
「現在(いま)と重なる前に……早く!」