第十一章-中編-



巨大な獣が牙を剥いて喰らい付く。

複数の剣が紫の尾を引きながら戦場を裂く。


……やめて。


雪崩のように映像が流れ込んでくる。

やめて、やめて。


これ以上は。


「ユウってば!」 

ぱたぱたと雫がこぼれ落ちた。


「……ぁ」


ドンキーは目を丸くして声を上げた。

「血ぃ出とるやないか!」

……そろそろと視線を落とせば。

「待っとれや、すぐ人呼んできたるからな!」

小さな手のひらを彩る。
 
 
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