第十一章-中編-
「でっか……」
ドンキーがぽつりと呟いた。
誰も同じことを思ったことだろう。身の毛が弥立つような恐ろしく歪な化け物や、温厚な草食動物……植物にしたってそう。これまで様々な生き物を任務などで目撃してきたが、今現在大多数の人間が目の当たりにしている巨人以上の大きさを誇る生き物はいなかった。
もし、あの拳を振るったら。虹色の球体から光線を薙ぎ払ったら。……
「うあっ」
声を上げて咳き込むユウを振り返って駆けつける。
「どないしたんや」
遠く離れていたリムが気付いて駆けてきた。
「どうしたんでしゅ」
体を内側から叩く、鼓動が痛い。
「ユウ!」
どくん。
「ぁ」
視界が暗闇に呑み込まれる――