第十一章-中編-



ぴたりと音が止んだ。刹那。

「っ、な」

先程吹いていた風よりもずっと強い台風のような激しさを誇る強風が吹き荒れた。踏み堪えるのも虚しく、ラディスとマルスはあっさり吹き飛ばされて――


視界を眩いばかりの白い光が広がった。

そうして出来上がった真っ白な景色に黒のひと雫がぽつりと滴る。


ぴし、と亀裂が走った。


――崩れる。


ラディスはゆっくりと瞼を開いた。気を失っていたらしい。

風の音が聞こえる。今のは何だったのだろう。

「……っ、う」

隣で呻く声が聞こえて覚醒した。マルスだ。

それまでうつ伏せで倒れていたラディスは重い体をのっそり起こすと息をはあっと吐き出した。途端、咳き込む。

無線は完全にやられてしまっている。聞こえるのは、ノイズだけ。

「……?」

ラディスは顔を上げた。
 
 
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