第十一章-中編-
「に、ひ」
ごふっと血を吐いて後半は聞き取れなかった。
けれどその目的はただひとつ。
銃声が響いた。
後頭部から入って額を抜けた銃弾が血を引き連れて彼方へ消える。
その後方で銃を構えていたのはフォックスだ。
「え」
首に赤の一線が横に引かれる。そして。
鮮血を噴き上げながら。
切断された。
「わああぁああああッ!」
ただし、今のはフォックスではない。彼より更に後方に居た、別の男。
「撃ったら駄目だ!」
ラディスは迷わず叫んだ。
「多分、クレイジーは」
はっと目を開いてクレシスが飛び出す。
「ラディス!」