第十一章-中編-



「に、ひ」

ごふっと血を吐いて後半は聞き取れなかった。

けれどその目的はただひとつ。


銃声が響いた。


後頭部から入って額を抜けた銃弾が血を引き連れて彼方へ消える。

その後方で銃を構えていたのはフォックスだ。

「え」

首に赤の一線が横に引かれる。そして。


鮮血を噴き上げながら。

切断された。


「わああぁああああッ!」

ただし、今のはフォックスではない。彼より更に後方に居た、別の男。

「撃ったら駄目だ!」

ラディスは迷わず叫んだ。

「多分、クレイジーは」

はっと目を開いてクレシスが飛び出す。

「ラディス!」
 
 
10/78ページ
スキ