第十一章-中編-
◆第十一章『未来へ-中編-』
……眠っているみたいだ。
まだ柔らかな少年の頬に触れてみて素直に、率直にそう思った。今にでも瞼を固く瞑ってゆっくり開き惚けた目を覗かせるんじゃないかと疑ってしまうほど。本当はそんなこと有り得なくて、けれど心の片隅でぼんやりと想像する。
半端な自分に呆れて言葉も出ない。今はただ疎ましい。
「回収って」
ラディスはふと顔を上げてそちらを見た。
「まさか抱えていくのか?」
言うとフォックスは困ったように腕を組んで。
「……だろうな」
彼らが足下に見つめるのはクレイジーの遺体である。
まだ新しい血の匂いが鼻につく。死んでいると分かっていても気乗りしない。
「マジかよ……」
案の定ファルコも嫌そうだった。
「だらしがないな」
呆れたように言うのは『D.H』の指揮隊長である。
「お前たち」
くいとしゃくれば直ぐに二人ほど飛んできた。押し退けられるよりも先に退く。
「運んでやれ」