第十一章-前編-
「ぁ」
それを引き金に。
四方八方から容赦ない銃撃が――
……兄さん。
凄まじい静寂が訪れた。兄とは裏腹にまるで蜂の巣のようにその体を銃弾によって撃ち抜かれた弟は今、地面にうつ伏せで倒れている。確かめるでもなく血溜まりに突っ伏すようにしてぴくりとも動かない彼が、生きているはずもなかった。
「……終わったな」
創造の神と破壊の神が死んだ。
新世界の創造を望み、今ある世界の破壊を企んだ双子の兄弟。
その恐怖はようやく取り払われたのだ。
「……ああ」
けれどそれ以上の言葉もない、惨たらしい最期だった。
いいや何を言ってるんだ。彼らは敵だったんだ、当然の結末じゃないか。
それでもどうしてこんなにも後悔の渦を巻くのは。
俺が、彼らの過去をこの目で見せられたからだろうか……?