第十一章-前編-



どうして倒れているの。

なんで動かないの。

「兄さん」

問いかけるように歩を進める。

「兄さん」

取り憑かれたように。

「兄さん」

ただそのひと言を繰り返しながら。


こんなのっておかしいよ。

ずっと一緒に居るって言ったじゃない。


「兄さん」

身構えるラディスをクレシスが片手を制して解くよう促した。

「……に」


その時だった。


――ひとつの銃弾が、クレイジーの頭を後ろから撃ち抜いたのである。
 
 
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