第十一章-前編-



幸せ者だな、お前は。

誰かを愛し愛され慕われて。生きてほしいと強く望まれ、想われて。


程よい慈愛に溢れ、恵まれている。


俺は思うよ。

きっともう手遅れなんじゃないかって。


だからこの時を待っていた。

……お前だから。


「兄さん!」

斬撃と銃撃と様々な音に揉まれながら弟が叫んだ。

「何してるんだよ、早くそいつをっ」


クレイジー。俺の可愛い弟。


ずっと傍に居てくれた。

お前ほど出来のいい弟を俺は知らない。


……それはきっと、これからも。
 
 
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