「っよし」

読み通りだ！

マスターが姿を掻き消すのを見計らってラディスは後方へ翻した。あれぐらいの速度であれば躱すのは容易だ。そしてマスターはあまり距離を取りたがらない。次に出現するとしたら消滅した位置よりほぼ真上――！


「読みが浅いな」


ラディスはぎくりとした。

思ったよりも早く彼は姿を現したのだ。


……先程と全く変わらぬ位置で。


「お前がそうだと感じるのなら俺だって同じ」

此方を向いたマスターの真後ろから迫る鎖。

「何てことはない」

――躱した！

右脇下を一つ潜らせて続け様、くるりと回り左右ギリギリ、二つ。過ぎてそれから左足をほんの少し上げてまた一つ。そうして躱された鎖がラディス目掛け向かってくるのは必然でラディスはその場を蹴り出し跳躍し回避。けれどマスターもそれ自体は読んでいたのか右手の人差し指をくいと招くようにすると、過ぎた鎖の一つがカクンと直角に進行方向を変えて翻しラディスの右足首に絡みついた。

「くっ」

マスターは続けて右手を突き出す。

すると彼の右側から飛び出した鎖がラディスの左手首に絡みつき引っ張り上げて。

「あ、がっ」
「そのまま引き千切ってやる」

マスターは笑み。