第十一章-前編-
右手を払い、背後に幾つもの魔法陣を発生させる。
その魔法陣の中心からじゃらじゃらと音を立てて鎖が飛び出すと、まずは二つをラディスはその場から飛び退き躱した。三つ、四つ、横に跳んで側転前転、斜め前に跳躍と少しずつマスターとの距離を詰めていく。
「ふん」
ラディスは地面を蹴り出して。
「同じ手は食わないぞ」
鎖が軌道を変えて後を追う。
「さて」
にやりと笑み。
「そいつはどうかな!」
はっと目を開いた。
鎖が。
マスターは舌打ちをこぼす。――深追いしすぎたか!
わざと横を抜けるラディスを追って鎖が向かってきたのだ。正面より三つと、上下二つずつ。それぞれが変則的な動きをしている。
短い時の中で選び取った打開策は。