第十一章-前編-
既の所で透明なバリアが拳を防ぎ、ラディスはすかさず飛び退いた。
後方、足を付けたのと同時に蹴り出し距離を半ばまで詰めた頃、もう一度地を蹴り出して接近。構えたマスターの目前払われた斬撃を先読みして高く跳び上がり、重心を乗せて急降下からの踵落とし。バリアがひび割れるとマスターは眉を顰めて直ぐ様右手を打ち払った。刹那、粉々に砕け散るバリアに。
「うわっ」
ラディスは対応が出来ない。
結局待ち構えていたマスターが体勢を崩して降ってきたラディスの右足首を掴み、見た目とは裏腹に軽々と振り回した後解放。まるでハンマー投げの如く飛ばされたラディスはその先の瓦礫に背中から激突、留まったものの。
「っ、」
息つく間もなく瓦礫を蹴り出して地面に飛び込む。それと入れ替わりでマスターはラディスの元居た場所に幾つもの剣を突き立てるのだから恐ろしい。
「どうした」
ラディスは息を弾ませ膝を付いた。
「それで終いか」
でも。
「……まだだ!」
今、最高に楽しい。
「いいだろう」
マスターはふっと笑った。
「そうでなくては潰し甲斐がない」