第十一章-前編-
マスター。
……俺は思うんだ。
戦いというのは悲しいものではないって。
「ラディス」
君の見てきた世界はあまりにも広く殺伐として、俺たちには到底理解できない。
でも。分かったこともあるんだよ。
「大丈夫」
それを伝えにいくから。
「っ、」
ラディスが地面を蹴り出したのと入れ替わりにクレイジーが突っ込んできた。
その場を飛び退いて躱すが距離を詰められる。引いた拳が振るわれるのをクレシスは防御が間に合わないと踏んだが寸前、飛び込んだフォックスが腰に据えた機械を叩きバリアを発生させて防御。ばちばちと青の閃光が飛び交う、軋む。
「……僕たちは僕たちで楽しもうよ」
少年はにやりと笑う。
「遊んであげるからさ」