第十一章-前編-
……分からない?
「万能の神であるこの俺に……知識を問うのか?」
するとラディスは静かに首を横に振った。
「……君は、敗北を知らない」
不快な言葉の響きだった。
「何が言いたい」
「自分には無縁とでも思った?」
ラディスの隣に降り立って、カービィ。
「……無論。これまでもこの先もずっと関わりのない言葉だ」
「本当にそうかしら」
マスターはピーチを睨みつける。
「お前たちに何が分かる」
「分かってほしいの?」
「馬鹿共には到底理解できないだろうな」
嘲るようにはっと笑って右手を払えば複数の魔法陣がその背後に浮かび上がった。
その中心から切っ先を起点にゆっくりと姿を現すはマスターソードやファルシオンといったこの世界にひとつしか存在し得るはずのない名剣。
「お前たちは俺に勝てない」
「それが常識なら今日、覆される」
どうして。
「証明するよ」
ラディスは言った。