第十一章-前編-
たかが一撃。されど一撃。
そう。
この手は届いた。
「……今の一発で終わらせないぞ、クレシス」
その言葉に目を丸くしたが、ふっと笑ってクレシスは応えた。
「ああ!」
……馬鹿な。
この俺が、当てられただと?
「行くぞラディス!」
いいやまぐれだ。そんなのはたまたま、偶然当たっただけに過ぎない。絆、連携、信頼、馬鹿げた空想などに振り回される俺ではない。
俺を誰だと思っている。神様だぞ?
それなのに。
「っ、」
どんなに理不尽で突破不可能な困難でも。
それはさながらバグやチートに立ち向かう負けず嫌いな子供のように。
人々は抗う。
ただひとつ望んだ未来へ辿り着く為に。