第二章



張り上げた声は廊下に響いて、静まり返った。ラディスはやれやれと頭を掻いて。

「……その通り、なんだがな」

ルイージは目を丸くした。

「第三者である自分が首を突っ込んでいい話じゃない。これは君達の問題だ」
「じゃあ、どうして」
「きっかけに」

ラディスはふっと笑みを溢す。

「……なればと思って」


――読めない人だ。


「君は本当にいい弟だよ。兄である彼のことをよく想っていて、理解している」

ラディスは続ける。

「でも。……だからこそ、君が気付いてあげるべきだ。本当はどうするべきなのか」

ルイージは口を閉ざしたまま、再び背中を向けた。俯き、立ち尽くしていて。


「変えられるのは、君だよ」


最後、言い残された台詞にルイージが振り向くと、そこにラディスの姿はなかった。

「僕は……」

ルイージは再び、視線を落として。
 
 
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