第十一章-前編-
ふと、視線を上げた。
前後からの挟み撃ちを受けるその寸前。マスターはその場にブロックノイズを残し姿を消失。次の瞬間其処から一メートルにも満たない離れた位置に姿を現すと透過した波動によって攻撃体勢の解けない二人を同じ方向へまとめて吹き飛ばした。
「くっ」
崩された体勢を立て直すべく空中で体を捻り、着地際を狙われない為に地面へ電撃を放つことで反発により体を押し上げタイミングをずらす。と、予想通りそれぞれの着地地点に地面を割って先の尖った白銀の結晶が真っ直ぐに突き出た。
ラディスは飛び越えその後ろに着地したがクレシスはもう一度電撃を放って位置を調整、結晶を蹴り出して黒の電光を纏い突撃の体勢へ。
「チッ」
思わずそんな声も洩れる。
接近こそ許されたが拳を振るえばするっと躱して手首を掴まれ、軽く振り回した後に解放。その上でマスターは小声で何やら呟くと自身の背後に幾つかの仄かな青い光を灯す魔法陣を浮かび上がらせ、右手を払うのと同時光線弾を放ったのだ。
「っ、」
空中では身動きが取れない。クレシスは両腕を構えて防御の姿勢をとる。
「ファルコ!」
はっと顔を上げた。
「――全弾、とまではいかねえが」
目前に青い髪が靡く。
「お返しだ!」