第十一章-前編-



「……やりゃあいいんだろ!」

両脚にばちばちと黒い電気が駆けて纏うと。踏み込むと同時、地面が抉れて。


――蹴り出す。


だん、だんとラディスへ向かう光の刃を足場に蹴り出しながら高速で接近すること距離約二メートル。マスターは表情を変えるでもなくじっと見つめて。

「チッ」

踵落とし、が。直前に現れた巨大なハイリアの盾がそれを防いだ。クレシスは踏み込み、駆け上がるが緩やかな球体状の見えない壁に阻まれて距離が縮まらない。加えて追うようにクレシスのすぐ後ろを様々な種類の剣が突き刺さってくる。

マスターの真上を過ぎた頃、蹴り出して一メートルの距離。背後を逆さまになって落下しつつ体を捻り、そちらへと向いて両腕を差し向けると指を鳴らしたが合図。二方向から雷撃を放った。だがここでも彼自身は背を向けたままの姿勢で見えない壁が弾くでもなく雷撃を飲み込み、そして。

――吐き出す。

「くっ」

くるくると体を捻り舞うようにしながら返ってきた雷撃を躱したが、

「な」

最後、白い蔓のようなものが向かってきて片足を捕らえ――

「クレシス!」
 
 
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