第十一章-前編-
どくんと心臓が跳ねた。
――なんだ。この違和感は……
「ぐっ」
クレシスが呻くのでそちらを見ると口を覆っている。
吐き気。次の瞬間。
「ぅ、おえっ」
……え?
「クレシス!」
嘔吐する友人に何が起こったのか分からない。
直後、ラディスも強烈な頭痛が襲った。
「忘れるなよ」
マスターは悠々と足を組んでいる。
「お前たちは他の人間とは違う、特別な『ゲームのキャラクター』だ」
気持ち悪い。
「製作者である俺にとって」
マスターはくるっと人差し指で宙に円描く。
「お前たちの中身を弄るくらい、造作もないことだ」