第十一章-前編-
精鋭部隊がやられた。それも目には追えない、一瞬で。
今度は、彼らかもしれない。
「ラディス!」
全ての判断はこいつに託すしかない。クレシスが横目に見るのと同時に。
ラディスは、目を瞑った。
「国の誇るトップ組織のリーダー様が情けねえ」
はっと目を開く。
「人には生きろと言っておいて」
青年は剣を肩に担いで、
「何が不安だって?」
にやりと笑み。
……ダークリンクだった。そうか、あの時ゲムヲが彼の傍らに膝を付いて片時も離れなかったのは治療を施していたからで。恐らく、彼と同じ影を自在に操る能力を持つゲムヲには此方側には分からずとも回復を助ける手立てがあったのだろう。
「目を見ろ。逸らすな。こいつらの意志を聞け」
ダークリンクはぎろりと睨みつける。
「てめえには何が見える?」