第十一章-前編-



クレイジーがふらりと一歩踏み出した、その時。


銃声。


本体を狙ったのではない。注意を逸らすべく足下の小石を撃ったのである。

「ラディス、クレシス!」

戦闘機を乗り捨てた男が華麗に着地を決める。

「そいつは俺たちが食い止める!」

ファルコが言うとその隣でフォックスが銃を構えて。

「無茶を言うな! 二人でどうにかなるレベルじゃない!」
「んなの分かってんだよ!」

くそ、こういう時に限って融通が――


「……全員なら」


ラディスもクレシスもはっと目を開いた。

「どうでしょうか」

ふふっ、と笑って前に出たのはリンク。

続けてゼルダ、ガノンドロフ。次々と進み出る最中、見惚れて。

「俺たちは同じ戦士ですよ」

突き立てていた剣を立ち上がりつつ抜き去って、マルスとロイが構える。

「……信じなくてどうするんです」
 
 
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