第二章
「……君は本当に、いい弟なんだね」
「五月蝿い!」
駆け出したルイージが距離を詰めてくれば、ラディスは構えて。突き出された拳を軽く受け流し、回り込んで飛び退く。
「でも、違うよ」
すぐに踵を返し、殴りかかるルイージに。
「それは、誰の為にもならない」
青い稲妻が放たれる――
「ラディス!」
試合を終えてバトルルームに戻ると、フォックスやクレシスがばたばたと駆け寄ってきた。「ただいま」とラディスは返して。
「気のせいか圧勝に見えたんだけど」
「ああ、それは」
間もなくバトルルームに戻ってきたルイージに、マリオはすっと視線を移す。
「っ……」
何も言葉が出てこない。
ルイージは小さく開いた口を閉じて言葉を呑み込むと、バトルルームを飛び出した。