第十一章-前編-
「ポポ!」
叫ぶ声に構わず視界に捕捉、赤い衝撃波を斜めに薙ぐ。
そして。
華々しく赤が宙を舞った。
「ざまあみろ」
クレイジーが笑ったのも束の間、
「――残念でした」
ポポはにぃっと口角を吊り上げる。
刹那、先程受けた傷などものともしないかのように槌を大きく振り上げて勢いよくバリアに叩きつけた。ひび割れた箇所に重心を乗せて降下、力強く踏み付けて蹴り出し後方へ飛び退いたと同時バリアは遂に弾けてしまい。
「なっ……」
攻撃は外さなかった。
その証拠に傷を負っている。なのに、どうして。
「ドワーフの一族は体が丈夫なんだよっ」
そう言ってポポが着地するのと入れ替わりにナナが駆け出す。
「くっ」
逸れず真っ直ぐ向かってくるナナを先程と同じように視界に補足、三日月状の赤い斬撃を幾つも繰り出して連続的に斬りつける。……が。
あっさり懐に潜り込まれて。
「それでもすっごく」
ナナは腰に据えた槌をぶんと払う。
「――痛いんだからねっ!」