第十一章-前編-
こいつら――!
指揮をとっているのはクレシスか。なら、
「ッが」
左側の死角から舞い込む蹴りの一撃がマスターを襲った。視界を覆う砂煙の最中、防御は間に合わず怯んだその一瞬の隙、続け様別の脚が脇腹に入り込んで蹴り飛ばされる。砂煙が風に吹かれて消えるとそこにはリムとドンキーが構えていた。
「兄さん!」
気付いたクレイジーが声を上げたが行く手を阻むようにヨッシーが飛び込んで、
「はいっ!」
踵で顎を蹴り上げつつ後転、すかさず飛び退く。
「お願いします!」
下がる最中のヨッシーと入れ替わるようにポポとナナの二人が木製の槌を手に駆け出しクレイジーの元へ。距離二メートル、ナナが振りかぶり地面を叩きつける。
地面はメキメキと音を立ててクレイジーの足下までジグザグにひび割れると割れたその隙間から次々と泥岩を突き出した。すかさず跳び上がったポポがその上をたんたんと軽やかに踏んで進み、最後の泥岩を踏むとまた高く跳び上がってクレイジーのちょうど真上へ、降下しつつ脳天目掛け振り下ろす。
「っ、」
だがそう上手くはいかなかった。
寸前で透明なバリアが攻撃を阻むとクレイジーは顔を上げて瞳を瞬かせたのだ。