第一章
「ったく。さっさと行こうぜ」
見失っちまう、とぼやかれれば「はいはい」と笑いながら返して、青年はハッチを閉じる。さて、見失わない内に追いかけねば、と飛翔していく飛行機を見上げて。
「ちょっといいか?」
「うわあぁああ!?」
突然、外側からハッチを覗き込まれれば誰だってそんな声は出る。青年は驚いた際に肘をとあるスイッチにぶつけてしまい。
「しまっ」
それは、主に緊急時に使用する、自動で発進、操縦を行うオートモードだった。
「……どうしたんだ?」
「お、」
降りてくれ、なんて言う間もなかった。
システムが起動すると直ぐ様エンジンがかかり、ふわりと地面を離れて機体が持ち上がったかと思えば、発進。
それは思っていた以上に荒々しく、猛スピードで容赦なく飛翔していって。