第十一章-前編-
砕け散った球体の破片が不意に空中で留まり、ぐぐっと持ち上がり鋭利な切っ先を此方へ。危険を察知してクレシスは叫んだ。
「弍の部隊、用意!」
その直後。
「遅い」
マスターが小さく呟くと破片は一斉に攻撃を仕掛けた。
砂煙が立ち込める。
「そんなこともないんじゃないかしら」
背後から聞こえた声にマスターとクレイジーは一瞬気を取られた。
「ユウ!」
声に誘われて視線を戻したところ放った破片が全て空中で静止している。紫の髪が揺らぐ、金色に瞳を瞬かせるあの子供は。そうか、超能力使いの。
「分かっている」
双子の繰り出す魔術は高度な上で詠唱を必要としない。
敵うはずがないのだ。
けれどもし。
一瞬でも隙を作れたとしたら。