第十一章-前編-
クレイジーは思わずぎょっとした。
墜落を免れないだろうファルコのアーウィンに今しがた、フォックスの搭乗していたアーウィンが右翼側に回り、密着姿勢を取ったのだ。機体があの状態ではいずれ炎上してしまう、危険なのは文字通り火を見るよりも明らかなのに。
そう思っていた矢先、遂に小爆発と共にファルコのアーウィンが炎上を起こした。赤々と燃えながら密着したフォックスのアーウィンに火を移して、
「……まさか」
ぽつりと声に洩らした。
「いくぞファルコ!」
嘘だろ。
「おうっ!」
あいつら。
「派手にキメるぜ!」
わざと機体が炎上するのを狙って――!?
「くっ」
クレイジーは手を解放すると振り返った。
余裕こいて背を向けたままで済む話ではない。いくら防いだところで二機の爆風を受ければ吹き飛ばされてしまう。
けれど。
気付いたところで。
「今だフォックス!」
炎を纏って墜落するアーウィンがもうすぐそこまで迫っていた。
叫んでコックピットを開き、ファルコとフォックスは飛び上がり乗り捨てて脱出。
……そして。