第十一章-前編-
勢いよく右手を払って差し向けた次の瞬間。
「――ッ、な……」
ラディス達の居る位置より後方、サイドからそれぞれ赤と緑の燃ゆる炎の柱がごうごうと音を立てながら放たれたのである。思わず肩を竦めたがそれが誰によるものであるかは確認せずとも知れている。炎は激しく交差を繰り返し、その先へ。
「まだいたんだ」
「クレイジー」
眉を顰めたが兄の右手を強く握って、
「分かってる」
程なくして炎は双子に到達。
しかし。
「っ防がれた」
ラディスは思わず声を洩らした。
言葉の通り、炎は双子の目前で見えないバリアによって防がれていたのである。
「その程度で勝った気にならないでよ」
クレイジーの瞳が赤く瞬く。
するとバリアの表面にばちばちと赤を帯びた電気が走り、膨張して結果炎を完全に弾き、断ち切った。火の粉が舞い、そして。
目を開いた。
「そりゃあこっちの台詞だぜ?」
炎を断ち切った先。
「なあ、神様?」
飛来する二機の青い機体。
まさかあの炎は。
こいつらをカムフラージュする為に――!?