第十一章-前編-
◆第十一章『未来へ-前編-』
さあっと風が吹き抜けて静寂が訪れる。
「……クレシス」
本当に、来てくれた。
やがて金色の光は徐々に弱まり、主の手の甲に収まると。
「はあっ」
ゼルダは震える右手を押さえるように左手を重ねてきゅっと握った。
「よもやこんなことにコイツを使うことになるとはな」
ガノンドロフはふんと鼻を鳴らして拳を解く。
「神の力の乱用など罰当たりにも程があります」
「ふふ、そうでしょうか」
リンクは笑った。
「案外クセになるかもしれませんよ」
――攻撃を防いだのはトライフォースの光によるものだった。
「話なら後にしろ」
クレシスは横に並んだその三人より前に進み出て、視線を上げる。
「……へぇ」
少し遅れてクレイジーは半笑いを浮かべた。
「助けに来たんだ」
言って、じろりと見渡したが他に人影も見当たらない。
「……これだけ?」
クレシスは黙っている。
「そんな人数で僕たちに敵うとでも思ってる? 助けるどころか」
くすっと笑って、
「足手まといにしかならないんじゃ」
「目標正面。壱の部隊、構え」
クレシスはぽつりと口を開いた。
「攻撃開始ッ!」