第十章-後編-
すると。
ぶわっと双子の足下から風が吹き上げ大きな魔法陣が浮かび上がったのだ。それは紫の光を仄かに放ち、続け様、双子の背後に無数の魔法陣を作り出す。
「庇い合うのは勝手だけどさぁ」
背後に浮かんだ魔法陣の縁をなぞるように赤い光が走った。恐らくのこと加勢したのである。程なくして魔法陣の中心から鋭利な光の刃の切っ先が、ずず、と顔を出した。それが幾つも、幾つも数があるのだから受ければ当然ひと溜まりもない。
「どうせこれから死ぬんだよ?」
クレイジーはかくんと首を傾けて。
「確証もないのにそんなくだらない妄想に縋って」
呆れたように吐き捨てる。
「僕たちの設定した事項は違えない。それだけは変わらない」
目の色が変わって、
「……絶対」
ピリピリとした空気が突き刺してくる。
「邪魔させるもんか」
迫る。終わりが。
その一瞬が。
「おいてめえ逃げろ」
ダークリンクは視線を外さないままラディスの体を起こす。
「数秒か幾らかなら止めてやれる。その隙に」
「っ、大丈夫」
「てめえこの期に及んで粋がってんじゃ」
ラディスは咳き込んで、
「大丈夫」