第十章-後編-



程なくして魔法陣の中心から一本の光の矢が放たれた。

白い閃光の如く。ただひとつダークリンクに狙いを定めて。


……約束。

やっぱり守れなかった。


皮膚を破って貫く、閃光が駆け抜ける。

赤い鮮血が舞うのをダークリンクは目を開いて見つめていた。

「……なんで」


飛び出したのはラディスだった。


「お前っ」

心臓は逸れたが肩をもろに打たれた。

どさりと横たわるラディスを目に最後の力を振り絞り、体を起こし駆けつける。

「余計なことしやがって」

ダークリンクは膝を付いて抱き起こす。

「なんで……」

ラディスははあっと息を洩らしてうっすらと目を開けた。

「……君は」

眉を寄せて耳を澄ます。

「生きなきゃ駄目だ」
 
 
52/55ページ
スキ