第十章-後編-



「ぁ……ッは……」

体が焼けるように熱い。

血が止まらない、自然治癒も追いつかない。

「くそ……」


畜生。


「やれやれ」

マスターは右手を上げて指を鳴らした。

「とんだ邪魔が入ったな」


運命は。無情にも蝕んでいく。

ほんの少し差した光さえ払い除けて奪い去る。


……なんでだよ。

なんで、俺だったんだよ。


「これでようやくトドメが刺せる」

マスターの背後にひとつの魔法陣が浮かび上がる。

「終わりだ」

静かに拳を握り締める。

「ダークリンク」


……畜生。

こんなはずじゃなかったのに。
 
 
51/55ページ
スキ