第十章-後編-
後方へ傾くダークリンクの体。マスターは右腕をゆっくりと持ち上げる。
「や、」
間に合え。
「やめろおぉおおッ!」
ぴし、ぴしと皮膚を所々裂いて青い電気を走らせ、全身に纏い飛び出す。
「……!」
出し切れる最大の電気を己が感じる限界までフルに使って高速で筋肉を伸縮させ、一歩一歩を跳ねるようにして力強く踏んで大きく移動。傍目に見たなら地面を蹴り出す度姿が消えたかのように映ったことだろう。
「っく」
右手が翳され、白の閃光が走るのと同時。ダークリンクと双子の間に飛び込む。
刹那、目の前に光の玉が現れたかと思うと途端に膨張し、弾けた。……凝縮した光魔法を破裂させたのである。直に受けたところでそこまでダメージはないだろうが今回電気を纏って突っ込んだのは良くなかった。エネルギーが膨張し、結果として大きな爆発を引き起こしたのだ。
「ぐあっ!」
爆風に吹き飛ばされ、再び地面を跳ねながら数メートル先へ。
全身を擦りながらようやく止まった頃。
ラディスの体は。
動かなくなっていた。