第十章-後編-
はっと目を開いた。
「伏せろ!」
開いた穴の向こう側で白い光が瞬いたのをラディスは見逃さなかった。
ダークリンクからはちょうど死角。飛び出し、反応の遅れた彼を半ば押し倒すような形で間一髪、打ち出された光の柱をすれすれで躱す。
「そんな狭い隙間に潜り込んで」
舞い上がる砂煙に咳き込む最中聞こえてきたのは。
「あまり手こずらせるなよドブネズミ」
――見つかった!
「マス、」
言いかけて状況を掴んだダークリンクが舌打ち。飛んできた光の粒の群れによる連撃を影より伸びた黒い壁によって防ぎ、その隙に立ち上がりつつラディスの首根っこの襟を掴んで引き、力強く地面を蹴り出す。
――爆発。抜け出したと同時だった。
「ッが」
もちろん此方も無事では済まされない。爆風に巻き込まれ、吹き飛ばされて地面を跳ねながら転がる。体中がヒリヒリとした痛みに苛まれうつ伏せになり呻いた。
「兄さんがやることないのに」
マスターと共に地面に降り立つとクレイジーはほんの少し膨れて。