第十章-後編-
ダークリンクが話を終えてからもラディスは暫く言葉が見つからないでいた。
狂気的で、快楽主義。異端な方向性のその全てがあろうことか殺戮へと向けられる彼にそんな過去があったなんて。
……ああそうか。
彼もまた運命の道を外れたかったのか。
魔王の目に触れる前に伝承者たちを殺めることで、どんな願いも叶えると云われるトライフォースを悪しき望みより遠ざけ、自然な形で変化を続けていく世界を。
いつか自由の身となって、彼女との約束を果たす為に。
だから、寂しかったのか。
許せなかったのか。
孤独の淵で血に塗れながら。
本当はずっと、悔しかったんだ。
「……、」
それが真実であるかどうかの確証は無い。
何でもかんでも信じて疑わないのでは単純な話、本当に騙された時に格好がつかないだろうがそれが自分なのだろう。ただ話を聞いただけなのにそれで安易に下そうとしている決断も正しいかどうかなんて分からない。
ただひとつだけ分かるのは。
「ダークリンク」
怒られるんだろうなぁ。
「この戦いが終わったら俺たちと――」