第十章-後編-



じっと見つめて言葉を待つ。

「……生きて」

少女は小さく口を動かして言った。

「キミは生きて」


色んなこと教え合ったけど。

世界には知らないことがまだまだ溢れてる。


代わりだとか、そんな重荷は背負わなくていいから。

その目で沢山見てきてほしいな。


多分。私にはもう、出来ないことだから……


ぱっと顔を背けて少女が咳き込むのを案じることはできなかった。じわりじわりと血溜まりが広がるのをどうすることもできないんだって。


それが運命なんだって。


「ダークリンク」

ぽつりと口を開いた。

「……名前」

教えてもいいのか分からなかったけど。

「そっかぁ」

少女は笑った。

「かっこいい名前だねぇ……」


……それが。

俺と彼女の最後の記憶。
 
 
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