第二章
言われてもいないのに分かるものか、と返してやりたかったが、何処か寂しげなルイージの瞳にラディスははっと息を呑んだ。
「……兄さんの為なんだ」
ルイージはぽつりと言葉を紡いで。
「君は確か、“誰かの為になりたいんだ”って言っていたよね」
それは昨日、ラディスが自室でクレシスのした質問に対する答えだった。
「ラディス」
ルイージは一歩踏み出し、微笑を浮かべて。さすがのラディスも目を開いた。
「僕の為に――負けてよ」
所変わって、バトルルーム。
三回戦目、ファルコンとの試合を終えたマリオは戻ってくるなり近くの壁に凭れかかって、少しばかり息を弾ませていた。
「やるじゃないか!」
一方のファルコンは敗北したお陰で緊張も解けたのか、陽気に声をかけて。
マリオはちらりと視線を送り、逸らす。
「……当然だ」