第十章-後編-



……本当に?

それで。世界は救われる?

「今ここで仕留めりゃ被害は最小限に抑えられる」
「……俺が」
「そうだ」

ダークリンクは再び囁きかける。

「お前が殺すんだ」

ラディスは自分の手のひらを広げて見つめた。


……俺が、彼らを?


「おいおい今更迷うなよ」

ダークリンクは軽薄な笑いを浮かべて立ち上がった。

「あれは“オトモダチ”じゃねえ。単なる殺人鬼なんだからよ」


選択しろ。


どうしてあの時、マスターがそれを託したのか。

本当に選び取ってほしかった答えとは何だったのだろう。今それを考えたところでそれが何か分かるはずもない。……でも。


「違う」


ラディスはぽつりと呟いた。
 
 
20/55ページ
スキ