第十章-後編-
見下すような物腰から打って変わって。
ダークリンクは顎を引き、双子を見据えて静かに続けた。
「お前は言ったな。この世界は、何処ぞの星で実際に開発されたゲームに登場しているキャラクターや設定を元に造られた世界だと」
――どうして、それを。
「そうだ」
あの場に彼は居なかったはずなのに。
マスターが答えるとダークリンクはくくっと笑った。
次の瞬間。ダークリンクの影は不自然に後ろへと揺らぎ傾いて盛り上がり、巨大な翼を模して地面から飛び出したのだ。彼自身の影により生成された漆黒のそれは、その大きな翼を羽ばたかせ、広げると周辺に幾つもの羽根を舞い上がらせ、不意にぴたりと止まって。羽柄を全てマスターに向け、狙いを定めてから射出。
今度マスターは何の動作もなく見えない壁を発生させてそれを難なく防いだ。
……最後。翼自身が形を変えて鏃(やじり)のように変化し両翼共に突撃――咄嗟にクレイジーが左手を打ち払い空間より現れた光の刃がそれぞれと衝突。
ぎりぎりと押し合うその異様な光景を、ラディスはただ呆然と見つめていた。
「気に入らないか」
マスターはふっと笑った。
「お前の運命は初めから本物ですらなかったという、」
ダークリンクが奥歯を噛み締めると影の鏃は押し合う強さを増して。
「……事実が」