第十章-後編-
反射的に目を瞑ってしまって、それから。
「大した生命力だなぁ?」
……え?
「電気ネズミ」
黒の衣を纏った勇者。
振り返ると褐色の肌と白髪とではそれぞれが浮いて見えて。
「戦場に出て尚御人好したぁ見上げた根性だ」
双眸は赤く。
「敵ながら呆れるぜぇ?」
彼の存在を語る全ては決して真(まこと)ではない。
「……ダークリンク」
ラディスは目を開いた。
「どうして、君が……」
地面には真っ二つに斬って落とされた刃が転がっている。程なくしてそれが粒子となり風に流れて消えるとダークリンクは剣を軽く振るい地面に突き立てた。
「っ、わ」
次の瞬間である。ラディスを捕らえていた鎖が何の前触れもなく現れた黒い斬撃によって切られ解放されたのだ。ずるずると壁を伝い、地面にずり落ちたラディスは遅れて受けたダメージに対し悲鳴を上げる体に小さく呻いて。