第十章-後編-
――俺が、ここで死んだら。
約束を果たせない。
「俺たちがこの世界を守るって……!」
少しずつでいい。
誰かがそうだったように、世界だって変えられる。
淡く、優しく。
「あっははははは!」
クレイジーは腹を抱えて笑った。
「不恰好な癖してよく言うね、俺“たち”だって?」
「っ……そうだ」
返すとクレイジーはまた愉快げに笑って。
「彼らは必ず来る!」
はたと笑い声が止んだ。
「……そっか。じゃあオメカシしてあげなくちゃ」
クレイジーは左手を突き出す。
「綺麗な赤で飾ったら……お仲間さん、どんな顔するだろうね」
ゴホゴホと咳き込んで睨みつける。
「……いい顔」
全貌を露わにした刃が赤い閃光を走らせて。風を切り、射出。
「それじゃあね。さようなら」