第十章-後編-



ラディスは伏していた目を、遂に閉じた。


……俺が死んだら。

残された世界。皆は幸せになれるだろうか。


「……、」


――信じてみないか?


そう遠くない未来。叶えるんだ。

「……?」


俺たちなら出来るよ。


「なに、その目」

クレイジーは呆然とした様子で呟いた。

「まだ諦めないっての?」

ゴホッと咳き込んで顔を上げる。


――その目には強かな意志を宿していた。


「……約束、したんだ……」

鎖を鳴らしてラディスは前のめりになりながら。

「“先に行って待ってる”って……!」 
 
 
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