第十章-後編-
なんでだよ。
「……いいねぇ、その目」
どうして届かないんだ。
「絶望してる」
……本当は誰より、助けたいのに――
「あんたみたいな人間にはお似合いだよ。希望に溢れて、持て余してて」
クレイジーが左手を静かに薙ぐと同時に背後より生成された、魔法陣。
中央からズズッ、とこれまでより歪で大きな刃がゆっくりとその姿を露わにして。
「っ、」
建物の壁に背中から減り込んでいたラディスを逃さんとするように、ジャラジャラ音を立てながら壁の中から現れた鎖が胸部や腕に巻き付き壁に押さえ付けた。
視界の端で青が瞬くのが見えて。
じゃあ、今のは……
「それにしても残念だなあ」
先程とは打って変わってクレイジーは愛らしく、にこり。
「ちょっかいさえ出さなきゃ良いオトモダチになれると思ったのに」
……俺は、ここで。
「まあいっか」
クレイジーはふふっと肩を竦めて。
「本当は嫌いじゃないんだ。あんたみたいな性格」
振り返って、
「だからまた造ってよ。今度はなるべく、しつこくないのがいいなぁ」